窮死
国木田独歩
九段坂の最寄にけちなめし屋がある。春の末の夕暮れに一人の男が大儀そうに敷居をまたげた。
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国木田独歩
九段坂の最寄にけちなめし屋がある。春の末の夕暮れに一人の男が大儀そうに敷居をまたげた。
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国木田独歩
上田豊吉がその故郷を出たのは今よりおおよそ二十年ばかり前のことであった。
19 min
国木田独歩
さて、明治の御代もいや栄えて、あの時分はおもしろかったなどと、学校時代の事を語り合う事のできる紳士がたくさんできました。
17 min
国木田独歩
秋の初の空は一片の雲もなく晴て、佳い景色である。
21 min
国木田独歩
一時田先生、名は立派なれど村立小学校の教員である、それも四角な顔の、太い眉の、大きい口の、骨格のたくましい、背の低い、言うまでもなく若い女などにはあまり好かれない方の男。
28 min
国木田独歩
ぼろ洋服を着た男爵加藤が、今夜もホールに現われている。
13 min
国木田独歩
一秋の中過、冬近くなると何れの海浜を問ず、大方は淋れて来る、鎌倉も其通りで、自分のように年中住んで居る者の外は、浜へ出て見ても、里の子、浦の子、地曳網の男、或は浜づたいに往通う行商を見るばかり、都人士らしい者の姿を見るのは稀なのである。
44 min
国木田独歩
画を好かぬ小供は先ず少ないとしてその中にも自分は小供の時、何よりも画が好きであった。
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国木田独歩
餅は円形きが普通なるわざと三角にひねりて客の目を惹かんと企みしようなれど実は餡をつつむに手数のかからぬ工夫不思議にあたりて、三角餅の名いつしかその近在に広まり、この茶店の小さいに似合わぬ繁盛、しかし餅ばかりでは上戸が困るとの若連中の勧告もありて、何はなくとも地酒一杯飲めるようにせしはツイ近ごろの事なりと。
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国木田独歩
五月二日付の一通、同十日付一通、同二十五日付の一通、以上三通にてわれすでに厭き足りぬと思いたもうや。
35 min
国木田独歩
明治倶楽部とて芝区桜田本郷町のお堀辺に西洋作の余り立派ではないが、それでも可なりの建物があった、建物は今でもある、しかし持主が代って、今では明治倶楽部その者はなくなって了った。
40 min
国木田独歩
都より一人の年若き教師下りきたりて佐伯の子弟に語学教うることほとんど一年、秋の中ごろ来たりて夏の中ごろ去りぬ。
29 min
国木田独歩
今度の戦で想い出した、多分太沽沖にあるわが軍艦内にも同じような事があるだろうと思うからお話しすると、横須賀なるある海軍中佐の語るには、わが艦隊が明治二十七年の天長節を祝したのは、あたかも陸兵の華園口上陸を保護するため、ベカ島の陰に集合していた時である。
7 min
国木田独歩
この度は貞夫に結構なる御品御贈り下されありがたく存じ候、お約束の写真ようよう昨日でき上がり候間二枚さし上げ申し候、内一枚は上田の姉に御届け下されたく候、ご覧のごとくますます肥え太りてもはや祖父様のお手には荷が少々勝ち過ぎるように相成り候、さ
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