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寺田寅彦 Torahiko Terada 1878.11.28〜1935.12.31

あらし

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宿もと料理りょうりであっあらためて宿屋やどやにしたそう二階にかい広間ひろま土地とち相応そうおうおおきいものある自分じぶん病気びょうき療養りょうようためしばらく滞在たいざいするつもだから階下かいかいたちいさいいたちょっとしたひか桑畑くわばたけ板塀いたべい宿三毛みけよく昼眠ひるねする吹け塀外へいそとなび二階にかいない広間ひろま真中まなか椅子いす持出し三十さんじゅう一人ひとり占領せんりょうながら見晴みはらす染谷そめや野井のい鴻島こうのしま朝晩あさばん変っ色彩しきさいせるからはもう漁船ぎょせんがえはじめる黒潮くろしおわれるこの濃く紺青こんじょう染め出し夕日せきじつかがやく白帆しらほこわ生々いきいきしたながあるこれうつくしい欸乃あいだいわびしいしに此処ここ当座とうざ波音なみおと醒めとお/\侘しがったが馴れれなら宿心安くってみれ商売しょうばいはな親切しんせつってうれしいってられ帳場ちょうば茶話ちゃばなしばれ宿泊しゅくはく手伝てつだいってやるある宿主人しゅじん六十ろくじゅうあまであっ大抵たいてい料理りょうり番頭ばんがしらさん一任いちにんしているらしいからかえ獲物えもの焼い御馳走ごっつぉをしやる三毛さんもう夜中やちゅうさん醒し足りないと家中かちゅう呼んあるため迷惑めいわくするあるこのさんから色々内輪うちわ聞かされ盗賊とうぞく紳商しんしょう泊っいた県庁けんちょう役人やくにん漁師りょうし同腹どうふくになっ不正ふせいいた一条いちじょうなど大方おうかたはこん問わがたしたあわあっ二階にかい泊っいたわかうつくしい死ん臨終りんじゅうさまなど小説しょうせつなど読め陳腐ちんぷこうし聞け催される雨夜あまよ茶話ちゃばなしっているそれよりさん潮風しおかぜずんだより山吹やまぶきより深く沁み込んられものある

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Where this text comes from

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First published
「ホトトギス 第十巻第一号」1906(明治39)年10月1日
Source edition (底本)
底本:「寺田寅彦全集 第一巻」岩波書店

   1996(平成8)年12月5日発行

底本の親本:「寺田寅彦全集 第一巻」岩波書店

   1985(昭和60)年7月5日第3刷発行

初出:「ホトトギス 第十巻第一号」

   1906(明治39)年10月1日発行

※初出時の署名は「寅彦」です。

入力:Nana ohbe

校正:佳代子

2003年12月14日作成

2016年2月25日修正

青空文庫作成ファイル:

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Typed by (入力)
Nana ohbe
Proofread by (校正)
佳代子

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